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おばあちゃんと、施設の廊下で歩行訓練をする。
一緒に歩けば私の帰る時間が延びると思っているみたいで、
用事を終えて帰り支度を始めると、「少し歩くかー」と言う。

おばあちゃんの手はひんやりあったかい。


小さいころ、私は幼稚園に行くのが大ッ嫌いだった。
朝、お迎えのバンビのバスがやってくる近所の広場に行っても
友だちと遊んだりおしゃべりしたりするわけでもなく
おばあちゃんの手をぎゅうっと握って、バスがあらわれる角の路地を
涙をためて、じいっと睨みつけてるイヤな子だった。

ハハもたぶん来てくれたと思うけど、思い出の中でいつも手を握ってくれてたのはおばあちゃん。
角を曲がってくるにっくきバンビバスが見えると、おばあちゃんの顔を振り仰いで
「ようちえん、いかなくてもいい?」
「おべんとう、たべきれなくてもいい?」
と、いつも涙目で聞いていた。

そのときおばあちゃんが何と言って私に言い聞かせたのかは覚えてないけど
しぶしぶバスのステップを登るその瞬間まで、私はおばあちゃんの手を離さずにいた。

振り仰いで見上げたおばあちゃんは、いつも頼もしくて心強かった。



エレベーターのガラス扉に映る私は、いつの間にかおばあちゃんの背を追い越していて、
今おばあちゃんは私の手を頼りに廊下に立っている。

背中が曲がって体も細くなったおばあちゃん。
白くなったけど豊かな髪は、ときどき陽だまりで銀色に光ってる。


おばあちゃんの手はあの頃よりもひんやりしていて温かい。

今度は私がおばあちゃんの手をひくよ。
あの頃の私のように、ぎゅうっと握っていいんだよ。

そんなことを思ったら、涙がこぼれそうになって困った。
2012.04.03 Tue l ヒトリゴト l コメント (0) l top

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